「細菌やウイルスとの共生」というタイトルで、3回に分けて記事を書いています📱
今日は2回目です。
前回の記事の内容を簡単に振り返ると、
- 地球上には膨大な数の、さまざまな細菌やウイルスが存在している
- 私たちは細菌やウイルスのことをよく知らないのに、「悪いもの」と思い込んでいる
- 細菌やウイルスのなかには、私たちの体に役立ってくれているものもある
こんな感じです👩
詳しくはこちら!お読みいただけると嬉しいです😊
今日は、主に「免疫」のお話をします。
嘔吐も下痢も体を守る働き
人間の体には、体に入ってきた「異物」を排除する働きがあります。
それは「免疫」によるものです。
これまで、細菌やウイルスが体内に入ったときに起こる症状は、細菌やウイルスの悪い作用だと考えられていました。
ですが、最近見直されて、実は悪いものではなく、病気を治すために起こっていると考えるようになったのです!
ごめんなさい。私たち、あなたたちのことを完全に誤解してたわ👩👨
ノロウイルスやロタウイルス
例えば、ノロウイルスやロタウイルス。
毎年冬になると、ノロやロタによる胃腸炎が流行ります。
これらの多くは、突然吐きはじめます。
ちなみに・・・
- 子どもが突然吐き始める病気はだいたい心配のないもので、99%は胃腸炎だと思っていい
- その場合は家で見ていて大丈夫
- 長くても半日くらいでおさまる
だそうです。
なぜ吐くかというと、それは口からウイルスが入ってきて、出そうとしているから。
全部出しきれずにウイルスが腸に入っていくと、下痢が始まり、ウイルスが全部いなくなると自然に下痢は止まります。
ここでウイルスの立場で考えてみましょう🤔
ここ居心地がいいな~!もう少しここにいたいな~😊
なんて思っているのかは分かりませんが、ウイルスは外へ出されないように腸内で頑張ろうとして、3日~5日くらいは抵抗します。
なので、下痢が止まるまで3日~5日くらいかかると思ったほうがいいみたいです。
結構長いですね😣つらい!!
吐くのも下痢するのもウイルスを外へ出すための体の防御反応だから、止めないほうがよいということですね。
心配な嘔吐について・・・
- お腹が痛いと何時間も言って、その後吐き始めたら危ない(例えば、腸重積で吐くときは、吐くまで腹痛が何時間も続く)
- 突然吐き始めたとしても、数時間前に頭をぶつけているときは要注意(頭の中で出血すると、大体5、6時間ほど経ち、血腫がある程度の大きさになり圧迫すると吐くため)
このようなときは病院へ急ぎましょう。
胎児が「異物」とされない理由
さて、人間の体には異物を排除する機能が備わっていることが分かりましたが、このような疑問が湧いてくるかもしれません。
なぜ、お腹の中の赤ちゃんは、「異物」とされないのだろう?
本当に不思議なのですが、人間の体には''異物であっても排除しない機能''も備わっているので、お腹の中の赤ちゃんは排除されずに、お母さんのお腹の中にいることができます👶
これを、「免疫寛容」といいます。
哺乳類の胎盤はウイルスによってつくられた!
お母さんの胎盤の中に、「合胞体性栄養膜」(がっぽうたいせいえいようまく)という膜があります。
この膜、最強なんです👩
''栄養分は通すけれど、リンパ球は通さない''
のです!!
この膜のおかげで、異物を排除する働きをするリンパ球は、胎盤の中に入れなくなります。
これがお腹の中の赤ちゃんが、排除されないしくみです。
これだけでも十分驚いてしまうのですが、驚くのはまだ早いです👩
なんと、この膜・・・
もともとウイルスだったんですよ!!!!
大昔にウイルスが私たちの体の中に入りこんで、そこで生きていくことに決めたのでしょう。
これが、ウイルスと人間の共生です。
片利(へんり)共生と相利(そうり)共生
共生には、片利共生と相利共生があります。
- 片利共生・・・一方の動物だけが得をして、もう一方の動物にはなんの得もない共生
- 相利共生・・・お互いに利益がある共生
片利共生は、きわめて少ないと言われています。基本的には相利共生であると思ったほうがいいです。
人間を含めて哺乳類は、ウイルスによって誕生したのである。
ウイルスなしでは人間は存在していない。
ウイルスが必ずしも敵とは限らないのだ。
※「コロナ論2」(小林よしのり)から引用
人間の祖先は細菌だった!?
今生きているたくさんの細胞を持つ生物も、元々はたったひとつの細胞からできている細菌やウイルスでした。
そして、人間の祖先をたどっていくと、
なんと!!
細菌だったみたいなのです😲
世の中に単細胞の生物しかいなかった時代が長いことありました。
そのときに、ふたつの細胞を持った生き物ができて、そこから進化が始まり、大体37兆個くらいの細胞でできていると言われる、このような体を持つ人間になったのです。
ふたつの細菌の出会い
ある日Aという細菌と、Bという細菌が出会ったのですが、Aという細菌がBという細菌を食べてしまいました。
ここではじめてふたつの細胞の生物ができたのです。
食べられてしまったBは、Aの体内で生き残らねばならない。
それで生き残るために何代かを経て形を変えました。
それがミトコンドリアです。
つまり、ミトコンドリアは細菌が変形したものなのです。
ミトコンドリアとは?
※画像はWikipediaより
私たちの37兆個あると言われる細胞のひとつひとつが、ミトコンドリアを持っています。
ミトコンドリアは、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーのもとになる物質をつくっています。
つまり、ミトコンドリアは生物にはなくてはならないものなのです。
ふたつの細菌が出会い、進化が始まって、ふたつから3つに、3つから4つになり、いろんな構造ができるようになりました。
なので、私たちの体には細菌も住みついているし、細菌がひとつの組織になったり、変化したりしたものもあります。
ぼくたちの体は、微生物がいなければ生きていけないといういうよりも、いってみれば、菌なのです。
「予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。」(青野典子・山田真)から引用
免疫の7割は腸内細菌の働き
先ほどお話した「免疫寛容」を覚えているでしょうか?
そうです!
本来、排除するはずの異物を排除しない機能でしたね😀
その「免疫寛容」に関することですが、赤ちゃんが生まれてから、どうして新しいものを受け入れていけるのでしょうか?
人間の体について、今まであまり考えたことがありませんでしたが、考えてみると本当に不思議なことばかりですよね👩
赤ちゃんは生まれてくると、体に母乳やミルクが入ってきます🍼
でも、排除しません。
離乳食が始まり、いろんなものを食べるようになりますが、新しいものも受け入れていきます。(アレルギーの子は除く)
異物を認識してそれを排除することと、受け入れるべきものは受け入れる
そんな高度なことを、私たちの体はしているのです!!
凄すぎじゃないですか😲!?
では、そんな高度なことを一体、体の中のどの部分がしているかというと、
主に腸です。
腸が「これは受け入れていいものだ!」と判断したら、吸収して、それを栄養にします。(自己と非自己の認識)
それが免疫です。
その免疫の7割くらいが腸で行われていて、それを担っているのが腸内細菌だと言われています。
腸、恐るべし!!
腸内細菌、恐るべし!!かな😀
この腸内細菌がまた、デキるやつなんですよね~。
腸内細菌は、異物が体に入ってきた瞬間に判断しないといけません。
初めてお米が体に入ってきたとします。
すると、腸内細菌が、どこか一億くらい記憶しているコンピューターに問い合わせます🖥️
一億くらい記憶している=一億くらい抗体を持っているということなのです。
問い合わせて大丈夫だと信号がきたら、受け入れます。
まとめ
- 免疫には「異物を排除する機能」と、「異物を受け入れる機能」が備わっている
- 免疫の7割が、腸内細菌の働きによるもの
- 細菌やウイルスなしでは、人間は存在できない
みなさん、いかがでしょうか?細菌やウイルスのことを知るにつれて、イメージもだいぶ変わってきたのではないでしょうか?
次回
「細菌やウイルスとの共生」は、次回で最後となります。
次回は「細菌の性質について」と、「細菌やウイルスに対しての考え方について」お話したいと思っています👩
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました🙇♀️
次回もお楽しみに😊
【参考】Amazonのリンクは↑にあります。
- 「予防接種は迷って、悩んでもいいんだよ。」(青野典子・山田真)
- 「コロナ論2」(小林よしのり)